ウサギの肝葉捻転
ウサギの食欲不振の代表的な病気には、胃腸のうっ滞や歯科疾患がありますが、
他にも様々な病気が原因で、食欲不振に陥ることがあります。
今回は、ウサギの肝葉捻転について紹介していこうと思います。
〈症状〉
元気食欲の低下や排便量の低下など、うっ滞によく似た症状が認められます。
肝臓の捻転によって肝臓の壊死が進んでいくことや、腹腔内の出血による貧血で
短期間で全身状態が悪化し、亡くなってしまうこともあります。
〈原因〉
何らかの原因で肝臓が一部ねじれてしまい、肝葉捻転となってしまいます。
はっきりとした原因は特定されていませんが、
肝臓を支える靭帯の異常や、胃拡張による肝臓への圧迫などの影響が考えられています。
また、ウサギの中でも特にロップイヤーでの発生が多いとされています。
〈診断〉
血液検査で肝数値の異常がないか、貧血があるかを確認していきます。
また、腹部エコー検査で肝臓の腫大や、血流の有無を確認し、捻転がないかどうか確認していきます。
これは肝臓(赤丸)のエコー画像です。赤や青で見えている部位は血管内に血流があることを示しています。
一方、こちらは肝葉捻転が疑われた肝臓(赤丸)のエコー画像です。
肝臓内に血流が確認できないため、捻転によって血管が閉塞し、血流が遮断されていると考えられます。
〈治療〉
点滴などの支持療法で回復するケースもありますが、
多くの場合は外科的に捻転した肝葉を摘出する必要があります。
また、貧血がひどい場合には輸血が必要となる事もあります。
こちらは肝葉捻転のウサギから摘出された肝臓です。
肝臓断面に黒色の塊(青丸)が確認できますが、
これは血液が凝固した血餅と呼ばれるもので、
捻転によって肝臓への血流が遮断されていたことがわかります。
肝葉捻転は緊急性の高い病気のため、迅速な治療が必要となります。
ウサギを飼育されている方、特にロップイヤーを飼育されている方は
このような病気があることを知って頂ければと思います。