症例紹介
フクロモモンガの心臓病
フクロモモンガにおいても、肺炎や心臓病といった呼吸器症状を呈する病気に遭遇することがあります。
今回は、フクロモモンガの心臓病について紹介していこうと思います。
〈症状〉
初期では無症状の場合もありますが、症状が進行してくると
呼吸促拍や努力性呼吸といった、呼吸器症状が認められます。
また、運動をしてもすぐに休んでしまうといった、運動不耐性の症状が認められる場合もあります。
その他、元気食欲の低下や突然死などが認められる場合もあります。
〈原因〉
フクロモモンガでは心臓病に関する報告はまだまだ少ないですが、
加齢や感染、腫瘍などが心疾患を引き起こす要因になりえます。
〈診断〉
レントゲン検査やエコー検査を実施し、心臓や肺の状態を確認します。

これは健康なフクロモモンガの胸部のレントゲン画像です。
赤丸で示す白い影が心陰影となります。
心臓の周囲に存在する肺は、レントゲンでは通常黒く見えています。

一方、こちらは心疾患による胸水貯留が疑われたフクロモモンガのレントゲン画像です。
胸水の貯留によって、本来は黒く見える胸部が全体的に白っぽくなっています。
また、胸水によって心陰影を確認することが難しくなっています。
〈治療〉
強心剤、血管拡張剤、利尿薬などの投与が必要となり、
心臓のケアのために投薬を継続していく必要があります。
また、呼吸状態が悪ければ自宅に酸素室を用意してもらう場合もあります。

先ほどの胸水貯留が認められたフクロモモンガの、治療開始後のレントゲン画像です。
胸水貯留が軽減したことで胸部全体が黒くみえるようになり、心陰影も確認できるようになっています。
心陰影は健康なフクロモモンガと比べると大きく、心陰影が拡大していることがわかります。
呼吸が速い、呼吸の仕方がおかしいなど、何か変わったことがあれば早めの受診を検討していただければと思います。