症例紹介

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小鳥の骨折

小鳥の体は繊細なため、ちょっとしたことで骨が折れてしまうこともあります。

今回は、小鳥の骨折について紹介していこうと思います。

 

〈症状〉

骨折した部位が上手く動かせない、麻痺しているように力が入らないような症状が認められます。

また、羽をかき分けて地肌を確認すると、骨折部位では内出血や腫脹を起こしていることが多いです。

 

〈原因〉

ペットとして飼育されている小鳥では、お世話の最中にケージの扉で挟んでしまった、

放鳥中に気づかずに踏んでしまった、壁にぶつかってしまったなどの事故で骨折してしまうことがよくあります。

また、慢性的に産卵を繰り返しているメスでは、体内のカルシウムが不足して骨が脆くなってしまい、

病的に骨折してしまうケースもあります。

 

〈診断〉

レントゲン検査によって骨折の有無や、骨折の状態を確認していきます。

また、体を強くぶつけるような事故で骨折してしまった場合では、

骨折以外にも内臓の損傷がないかどうかも確認し、全身状態を評価する必要があります。

 

〈治療〉

ギブスなどの外固定で骨折を整復する方法や、ピンなどを用いて外科的に整復する場合もあります。

また、骨折に伴う全身状態の悪化が認められる場合では、点滴や強制給餌などの

対症療法も積極的に行う必要があります。

これは、足の骨折の認められたウスユキバトのレントゲン画像です。

赤丸で示す部位の骨の連続性が失われ、骨折していることがわかります。

この症例では、ギブスで骨折部を固定し治療を行いました。

 

治療を開始してから2か月後のレントゲン画像です。

骨折部の癒合が進んでいることがわかります(赤丸)。

 

小鳥ではお世話をしている時や放鳥中の事故で、骨折などのケガをしてしまうことが多いです。

小鳥の扱いには十分注意してもらい、特に放鳥中は小鳥から目を離さないようにしていただければと思います。