症例紹介

犬のマラセチア性皮膚炎

気温が上がってくる夏場は、ワンちゃんの皮膚病の発生が多くなってくる季節です。

今回は、犬のマラセチア性皮膚炎について紹介していこうと思います。

 

〈症状〉

皮膚のべたつき、発赤、脱毛、フケ、かゆみなどの症状が認められます。

耳や口周囲、腹部、脇、指の間、肛門周囲などで認められることが多いです。

これはマラセチア性皮膚炎が認められたワンちゃんの前足です。

指の間の皮膚に発赤とかゆみが認められました。

 

〈原因〉

元々、マラセチアは健康な犬の皮膚にいる常在菌で、皮膚の皮脂を栄養源に増殖するカビの1種です。

このため、皮脂の溜まりやすい部位(指の間、脇など)での発生が多くなります。

また、脂漏症やアトピー、食物アレルギー、内分泌疾患などの基礎疾患が好発要因となっていることもあります。

 

〈診断〉

皮膚検査によってマラセチアを検出します。

こちらの画像は、マラセチア性皮膚炎が認められた犬の皮膚検査の顕微鏡画像です。

紫色のピーナッツ型の塊(赤矢印)やその周囲にある紫色の丸い塊が、マラセチアの酵母体となります。

 

 

〈治療〉

皮膚の状態によって、薬用シャンプーや内服薬、外用薬を使用して治療していきます。

アトピーや食物アレルギー、内分泌疾患などの基礎疾患があれば、

それらの治療も同時に実施していく必要もあります。

 

おうちのワンちゃんの皮膚のことで何か気になる事があれば、一度相談に来院していただければと思います。