症例紹介

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鳥の甲状腺腫大

開口呼吸などの呼吸器症状は、鳥の生命にとって危険なサインの一つです。

今回は、小鳥の呼吸器症状を引き起こす病気の一つである、甲状腺腫大について紹介していこうと思います。

 

〈症状〉

甲状腺の腫れによる呼吸器への圧迫による開口呼吸や咳、異常な呼吸音などの呼吸器症状や

食道への圧迫による吐出などの症状が認めれれることが多いです。

甲状腺腫大ではこのような症状が夜間に悪化することがよくあります。

また、甲状腺腫大では甲状腺の破裂による突然死が起こる場合もあり、注意が必要となります。

 

〈原因〉

詳しい原因については不明ですが、食事中のヨードが不足すると発症する可能性があり、

シード類にはヨウ素が含まれていないため、シードのみの給餌は注意が必要となります。

また、甲状腺誘発物質を多く含む青菜類(キャベツ、小松菜、豆苗など)の多給によっても発生する可能性があります。

 

〈診断〉

レントゲン検査で、甲状腺の腫れが無いかを確認します。

しかし、呼吸困難に陥っている小鳥ではレントゲン検査の実施が困難であるため、

試験的に甲状腺に対する治療薬を投与し、反応を確認する場合もあります。

これは甲状腺の腫大が認められた文鳥のレントゲン画像です。

赤丸で示す位置に腫大した甲状腺が確認できます。

 

〈治療〉

甲状腺ホルモン剤や、ヨードの投与が必要となります。

また、全身状態が悪化している場合では、酸素吸入や保温などの支持療法も必要となります。

先ほどの甲状腺腫大が認められた文鳥の治療後のレントゲン画像です。

甲状腺(赤丸)の腫大が軽減していることがわかります。

 

もし飼育されている鳥で、呼吸が苦しそうな症状が認められた時に、

特に夜間に症状が悪化することが多い場合は甲状腺の異常が疑われます。

そのような場合は早めに来院を検討していただければと思います。