症例紹介

犬の肛門周囲腺腫瘍

当院ではわんちゃん、ねこちゃんの将来的な病気のリスクを抑えるために、

若年期での避妊・去勢手術をお勧めしています。

今回は未去勢の雄犬で発生の多い、肛門周囲腺腫瘍について紹介していこうと思います。

 

〈症状〉

肛門周囲腺という組織が腫瘍化して、しこりになってしまいます。

肛門の周りでの発生が多く、しこりが大きくなると表面が自壊し、出血や排膿を伴う場合もあります。

また、肛門周囲腺が存在する包皮や尾、腰背部にも発生することがあります。

 

〈原因〉

肛門周囲腺は男性ホルモンによる刺激によって腫瘍化してしまいます。

このため、未去勢の中高齢の雄で発生が多いですが、まれに雌や去勢雄でも発生する場合があります。

 

〈診断〉

しこりの細胞診や病理組織学的検査によって診断します。

 

〈治療〉

良性の肛門周囲腺腫であれば、去勢手術によって腫瘍が小さくなることもありますが、

腫瘍が大きい場合は去勢手術と腫瘍摘出を同時に行うこともあります。

悪性の肛門周囲腺腫癌では転移や再発の可能性もあり、注意が必要となります。

 

写真のわんちゃんは当院で手術を実施した肛門周囲腺腫瘍の症例です。

しこりが自壊し出血を伴う状態で、自宅では常に絆創膏で保護しているとのことでした。

しこりの摘出の手術と去勢手術を実施し、病理検査を行ったところ良性の肛門周囲腺腫とのことでした。

 

手術後、4か月以上たった後の写真です。

傷口はきれいに癒合し、順調な経過をたどっています。

 

お尻の異常がある場合や避妊・去勢手術など、お気軽にご相談していただければと思います。