症例紹介
猫の慢性腎臓病
猫で遭遇することの多い病気に、慢性腎臓病(CKD.chronic kidney disease)があります。
今回は、猫の慢性腎臓病について紹介していこうと思います。
〈定義〉
①3か月以上持続する腎臓の障害
②3か月以上持続する腎臓の機能低下
これらのうち、どちらか一つでもある状態を慢性腎臓病と定義されます。
〈症状〉
初期の慢性腎臓病は無症状のことがあります。
進行すると多飲多尿、食欲不振、体重減少、嘔吐、口臭、元気消失、脱水などの症状が出ます。
また、脱水により二次的に便秘を引き起こすこともあります。
〈原因〉
原因は不明のことが多いです。
腎結石や腎盂腎炎などの腎疾患や、膀胱炎などの下部尿路疾患が関係していることもあります。
これらは水分不足、ストレス、運動不足などが原因となる場合があります。
〈診断〉
血液検査、エコー検査、レントゲン検査、尿検査などで腎臓の形態や腎機能などを評価します。
下の画像、左は健康なネコちゃん、右は慢性腎臓病のネコちゃんのレントゲンです。
右側の写真では腎臓の萎縮がみられます。また腎結石(矢印)もみられます。


血液検査ではクレアチニン、SDMA、尿素窒素(BUN)が高値になります。
また、それらの検査結果をもとに、慢性腎臓病をステージ分類をすることもできます。
〈ステージ分類〉
猫の慢性腎臓病には「IRIS分類」という国際的なステージ分類があり、
血液検査結果などをもとに、進行具合によってステージ1~4に分類されます。
これは国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)が2023年に作成したもので、
ステージごとに推奨治療のガイドラインも設けられています。
〈治療〉
腎機能を温存させ、病気の進行を遅らせることが治療の目的になります。
治療は食事療法、水分補給、薬物療法に分けられます。
・食事療法:腎臓に負担をかけないよう、療法食を食べさせます。
・水分補給:脱水は腎機能を悪化させます。
飲水量を増やす工夫や、必要に応じて皮下点滴を実施します。
・薬物療法:腎臓の負担を下げるために降圧剤を使用したり、尿毒症毒素を吸着する薬などを使用します。
また、腎機能が低下すると様々な合併症が発症し、それらに対する対症療法を行います。
例えば吐き気に対して制吐剤を使用したり、貧血に対して造血剤を使用したりします。
腎臓病は一度進行してしまうと元に戻すことはできません。そのため、早期発見してあげることがカギになります。
そのためには血液検査や尿検査や画像検査など、定期的な検診をうけることが重要です。
当院では10月1日~12月21日まで、猫ちゃんの健康診断の血液検査を特別価格で実施しております。
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