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鳥のマクロラブタス感染症

鳥の健康診断において、便の状態を確認することはとても大切です。

便検査では便の色や性状の他に、顕微鏡で病原体の有無を確認します。

今回は便検査によって発見できる病気の一つである、マクロラブタス感染症について紹介していきます。

 

〈症状〉

軽度の感染では無症状の場合もありますが、感染が進行すると胃炎や胃潰瘍を引き起こします。

このため、嘔吐や吐き気などが認められ、胃壁の障害による出血によって黒色便や貧血、

消化不良による削痩や未消化便が認められる場合もあります。

 

〈原因〉

「マクロラブタス」と呼ばれる真菌の感染によります。

以前は細菌と考えられていたため、「メガバクテリア」と呼ばれていました。

繁殖期の親鳥は、自分の食べたエサを吐き戻してヒナに与えるため、

この時にマクロラブタスを保有する親鳥からヒナへ感染すると考えられています。

また、糞食や、求愛時に吐きもどしたエサを食べる行為も感染を引き起こす可能性があります。

 

〈診断〉

便検査によってマクロラブタスの検出を行います。

上の画像の赤丸で囲っている菌体がマクロラブタスです。

他の細菌に比べるとかなり大きな菌体が特徴です。

 

〈治療〉

抗真菌剤の内服が必要となります。

重症例や慢性例では抗真菌剤の注射薬を投与することもあります。

また、胃腸を保護するために胃薬や粘膜保護剤などを使用することもあります。

 

特にセキセイインコでの発生が非常に多く、重症化すると亡くなってしまうことも多い病気です。

特に体調に問題が無さそうでも、健康診断で検便を実施することをおすすめしています。