コーンスネークの卵胞うっ滞
爬虫類のメスでは卵に関連する病気の発生が多いです。
手足の無い特徴的な外見をしているヘビも、そのような病気が発生することはよくあります。
今回は、コーンスネークの卵胞うっ滞について紹介していこうと思います。
〈症状〉
卵胞の発達とともに腹部が膨らんでくることが多いです。
無症状なことも多いですが、元気食欲の低下がみられることもあり、
長期的に異常な卵胞や卵が存在する場合では、腹膜炎を起こしてしまい
多臓器不全によって亡くなってしまうこともあります。
〈原因〉
爬虫類の卵胞の発達や産卵には、温度や湿度、日照時間など、様々な環境的要因が関与しています。
人工飼育下でこれらを完全に再現することは困難であるため、卵胞の発育が上手くいかなくなった結果、
卵胞うっ滞を引き起こすと考えられています。
〈診断〉
レントゲン検査やエコー検査を行い、卵や卵胞が存在するか確認する必要があります。
これは卵胞うっ滞が疑われたコーンスネークのレントゲン画像です。
赤丸で示す範囲に丸い構造物が多数認められ、卵胞の存在を示唆しています。
また、必要であれば血液検査など他の検査も実施し、全身状態を確認する場合もあります。
〈治療〉
卵胞は自然に退縮することもあるため、全身状態に問題がなければ経過観察する場合もありますが、
卵胞が退縮しない場合や、全身状態の悪化がみられる場合では手術が必要となります。
これは手術のために全身麻酔をかけたコーンスネークです。
ヘビの場合でも犬や猫の全身麻酔と同様に気管内にチューブを挿管し、人工呼吸器で麻酔の維持を行います。
この症例では体腔内を確認したところ、変形した卵や卵胞が確認できました。
ヘビでは臓器が直線的に臓器が並んでいるため、一か所の切開では卵胞を取り切れない場合があり、
複数箇所を切開して卵胞の摘出を行う場合もあります。
ご自宅のヘビのお腹が膨らんできたなど、何か異常があれば早めに来院を検討していただければと思います。