症例紹介

爬虫類

フトアゴヒゲトカゲの消化管内寄生虫

爬虫類では野外採集個体でも繁殖個体でも、寄生虫の感染がみられることが多くあります。

今回は、フトアゴヒゲトカゲの消化管内寄生虫について紹介していこうと思います。

 

〈症状〉

爬虫類では健康な個体でも、消化管内に寄生虫の感染が認められることがよくあり、

これといった症状が現れない場合も多いです。

しかし、個体の免疫力の低下、複数種の寄生虫の感染、病原性の高い寄生虫の感染などによって

下痢や食欲不振、削痩などの症状が認められることがあります。

 

〈原因〉

野生採取個体、いわゆるワイルド個体では野外ですでに寄生虫を保有している可能性が高いです。

ペット用にブリードされた個体でも、母子感染や寄生虫を保有する他の個体との接触によって

寄生虫に感染していることも多くあります。

 

〈診断〉

糞便検査によって寄生虫を確認していきます。

これは健康診断を目的に来院されたフトアゴヒゲトカゲの糞便検査の顕微鏡画像です。

蟯虫卵(赤丸)とコクシジウムのオーシスト(青丸)が確認できます。

どちらもフトアゴヒゲトカゲでは遭遇することの多い寄生虫です。

 

〈治療〉

駆虫薬の投与が必要となります。

寄生虫の種類によって使用する駆虫薬の種類が異なるため、糞便検査で寄生虫の種類を確認することが重要になります。

また、健康な爬虫類でも保有していることの多い病原性の低い寄生虫に関しては、

駆虫するかどうかについては、その個体の状態を確認し、検討していく場合もあります。

 

新しく爬虫類をお迎えした場合は、健康状態の確認として糞便検査をすることをお勧めしています。

検査を希望の方は一度来院していただければと思います。