症例紹介

ウサギ

うさぎの腰椎骨折

うさぎは骨が薄いため、弱い力でもわんちゃんやねこちゃんでは考えられないような

外傷性骨折を引き起こしてしまうことがあります。

今回は腰椎骨折を起こしてしまったうさぎを紹介したいと思います。

 

<症状>

腰椎の骨折による下半身麻痺が症状として認められます。

また疼痛から元気、食欲が低下します。

中には自力で排尿ができなくなることがあり、

これによって尿漏れ、泌尿器系疾患、腎不全や陰部の湿性皮膚炎を伴うことがあります。

 

<原因>

不適切な保定や何かをきっかけにパニックに陥ることにより起きることがあります。

その他では高所からの落下、踏まれるなどの事故が原因となります。

 

<診断>

レントゲン検査によって骨折端を確認します。

今回の腰椎の骨折が認められた症例です。

正常なウサギの腰椎のレントゲンです。

食欲低下や排尿障害

を起こしている場合は血液検査を行います。

<治療>

手術は困難なため、内科的療法の看護やケアが基本となってきます。

排尿障害があるこは圧迫排尿を1日3-4回行います。

排便、排尿が自力でコントロールできないため、おむつを進めることがあります。

また食欲がもどるまでは皮下点滴や強制給餌を毎日実施する必要があります。

後肢が麻痺しているうさぎのなかには足に感覚がないため、気になって足を齧って出血を引き起こすこともあります。

写真の症例では第7腰椎の骨折(赤丸)がみとめられました。

腰椎骨折は排尿障害や後躯麻痺など命に係わる問題を引き起こすため、

予後はあまりよくないとされていますが、

今回紹介させていただいたウサギさんは飼い主さんの懸命なお世話により今でも元気に過ごしています。

起立不能や異常歩様が見られた際ははやめに病院に連絡してください。

腰椎骨折により後肢が麻痺している状態です。おむつを履かせることでお尻周りをきれいに維持しています。