症例紹介

ウサギのエンセファリトゾーン症

今回は、エンセファリトゾーン症について紹介していこうと思います。

 

〈症状〉

主に神経症状、眼症状、腎不全がみられます。

神経症状としては、斜頚(首が傾く)、眼振(目や頭が揺れる)、ローリング(不随意に回転する)、姿勢を崩す等の前庭障害や、

顔面神経麻痺、四肢または両後肢の不全麻痺がよくみられます。

眼症状としては眼の中に膿が溜まったり、白内障になったりします。

また食欲不振や体重減少、突然死などの非特異的な症状も認められることがあります。

下の写真は斜頸のみられたウサギさんです。

 

〈原因〉

Encephalitozoon cuniculiという真菌の一種が主に中枢神経、腎臓、目の水晶体などに感染して発症します。

通常は不顕性感染で症状は出ませんが、ストレスなどによる免疫抑制に伴い日和見的に急性発症します。

日本での不顕性感染率は57.9%と報告されています。

 

〈診断〉

確定診断は脳神経や目や腎臓の病理組織学的検査になりますが、侵襲性が高く、生前に行われることはほとんどありません。

そのため、臨床診断は臨床症状、神経学的検査を含む身体検査、血液検査、画像診断、E.cuniculi抗体価の測定

などを組み合わせて行われます。

特に抗体価の測定は、感染の有無を評価するための重要な検査です。

 

〈治療〉

前庭症状を示すウサギに対して、フェンベンダゾールという駆虫薬の臨床的治療効果が報告されています。

また、浮腫や炎症の消失による症状の改善を期待して消炎剤を使用したり、

食欲不振に対して胃腸薬や消化機能改善薬を使用したり、点滴を行ったりすることもあります。

また、神経症状が重度の場合、骨折や褥瘡などの二次的損傷を予防するために、下の画像のようにケージ内を柔らかい素材で保護するといった工夫が必要です。

症状の改善には長期間かかることや後遺症が残る場合もあり、強制給餌などによる介助が必要になる事も多いです。

 

〈予防〉

本症はストレスや免疫抑制がかかることで突然の発症や症状の悪化が懸念されるため、

近年では飼育環境の安定化が重要視されています。適切な温度、湿度管理、静かな環境での飼育などを心がけましょう。

 

うさぎさんの首の傾きや、歩様困難など、何か変わったことがあれば早めの受診を検討していただければと思います。