症例紹介

爬虫類

カメの卵塞

カメのメスで遭遇することの多い病気に、産卵が上手くできない卵塞があります。

今回は、カメの卵塞について紹介していこうと思います。

〈症状〉

食欲の低下や、落ち着きなく動き回る、いきみ、穴を掘る仕草などが認められます。

また、卵が体内に長期間留まることによって卵管炎や腹膜炎を起こすことがあり、

そのような状態では元気食欲が低下して衰弱し、そのまま亡くなってしまうこともあります。

〈原因〉

卵塞の原因は、機能的卵塞と機械的卵塞に分けられます。

機能的卵塞は、不適切な温度管理や産卵場所の欠如といった飼育環境の不備や、栄養不良、肥満などで、正常な産卵ができなくなっている状態です。

一方、機械的卵塞は、母体の骨盤腔を超える大きさの巨大卵や、母体の骨盤異常、異常な形の卵などで、物理的に産卵ができなくなっている状態です。

また、本来は卵管内にあるはずの卵が膀胱や体腔内に落ち込んでしまい、産卵できなくなることもあります。

〈診断〉

レントゲン検査やエコー検査などで、卵の有無を調べます。

また、卵の個数、大きさ、形、位置などを確認し、どのような状態の卵塞なのかも確認します。

その他、全身状態の確認のために血液検査を行うこともあります。

これは、卵塞が認められたニホンイシガメのレントゲン画像です。

体内に卵があることがわかります。

こちらは、卵塞の認められたミシシッピアカミミガメのレントゲン画像です。

このカメでは、卵の形が少しいびつな状態になっていることがわかります。

〈治療〉

機能的卵塞の場合では、内科的な治療として排卵誘発剤やカルシウム剤の投与を行います。

内科的な治療に反応しない機能的卵塞や、機械的卵塞がある場合などでは、

外科的に卵の摘出を行う必要があります。

こちらは摘出した卵胞と卵管と卵です。卵管の中に異常な形をした卵がみられます。

カメに限らず、爬虫類のメスは1匹で飼育していても無精卵を産むことはよくあり、

そのまま卵塞になってしまうケースも少なくありません。

また、オスと思って飼育していたカメが、実はメスでしたということもよくあります。

落ち着かない様子など、卵塞を疑う症状があれば早めの来院を検討していただければと思います。