症例紹介

両生類

ツノガエルの外傷

動物好きな方の中には、複数の動物を家族としてお迎えしている方も多いかと思います。

しかし、動物同士で思わぬ事故を起こしてしまうこともあり、注意が必要となることもあります。

今回はおうちのネコに咬まれてしまった、ツノガエルについて紹介していこうと思います。

 

〈症状〉

ネコに咬まれてしまい、ケガをしてしまったとのことで来院されました。

状態を確認すると右臀部から臓器がとびだしてしまっています(赤丸)。

また、脱出した臓器が呼吸にあわせて膨らむ様子から、肺が脱出していることがわかりました。

 

〈原因〉

両生類では細菌や真菌の感染により、皮膚が裂けてしまうこともありますが、

今回は外傷によって皮膚と筋肉が裂けてしまったと考えられました。

 

〈診断〉

特徴的な外観によって診断していきます。

また、臓器の状態を確認するためにレントゲン検査や超音波検査を実施する場合もあります。

感染が疑われる場合は、培養検査も実施する場合があります。

 

〈治療〉

今回は幸いにも、肺を含め内臓には大きな損傷はなく、出血も微量だったことから、

肺を体腔内に帰納し、損傷した筋肉と皮膚を縫合して様子をみていくことにしました。

肺が床材で汚染されていたため、洗浄を行ったのちに縫合を実施しました。

縫合後の様子です。縫合後は感染を防ぐために、清潔な飼育環境と抗生剤の投与が必要となります。

 

治療から2か月ほどたち、抜糸したあとの様子です。

傷口はきれいに癒合しており、元気食欲も問題ないとのことでした。

 

動物は悪気はなくても、他の動物を傷付けてしまうこともあります。

おうちに複数動物がいる方は動物同士の相性をよく確認していただき、

事故が起きないように注意していただければと思います。