症例紹介

両生類

ツノガエルの異物誤食

カエルは目の前で動くものを何でも捕食しようとすることが多く、

ケージ内のレイアウト用品などを誤食してしまうことがあります。

今回は異物を誤食したツノガエルについて紹介していこうと思います。

 

<症状>

異物が小さく、量も少ないと無症状の場合もあります。

異物が大きい、あるいは量が多いと元気食欲の低下や、嘔吐、便秘などがみとめられ、

異物や二次的に貯留してくる腹水によって、腹部が膨らんでいる場合もあります。

 

<原因>

不意に動いたケージ内のものを誤食する可能性があります。

また、給餌の際にエサと一緒にソイルやヤシガラなどの床材を飲み込んでしまうこともあります。

 

<診断>

問診で誤食したものがないかの確認や、レントゲン検査やエコー検査で体内に異物がないかを確認します。

各種検査で異物の存在がはっきりしない場合は、バリウム検査を実施する場合もあります。

 

<治療>

異物が小さく少量の場合は下剤などの内服薬を使用し、便と一緒に体外に排出されるか経過観察する場合もありますが、

異物が大きい、大量にある場合は外科的な処置を行う必要があります。

異物が胃にある場合は麻酔下で口から取り出せることもありますが、異物が腸内にある場合では開腹手術を実施します。

 

このレントゲン画像は1ヶ月以上の便秘と食欲低下で来院されたツノガエルです。

お腹の中に白くなっている部分(赤矢印)があります。

硬くなった便や異物の存在が疑われ、手術を行うことになりました。

 

先ほどのレントゲン画像のツノガエルです。

手術を行う直前の全身麻酔を行っている様子です。

 

開腹手術で腸管を切開したところ、中から大量のヤシガラが出てきました。

この子は自宅では床材にヤシガラを使用していたそうです。

 

異物の摘出を終え、切開した腸管を縫合した様子です。

 

手術後のレントゲン画像です。白くなっていた部分は無くなっています。

 

カエルを飼育されている方は飼育環境内に誤食の可能性があるものがないか、

しっかり確認していただければと思います。