症例紹介
ヒョウモントカゲモドキの上皮欠損を伴う脱皮不全
今回はヒョウモントカゲモドキの上皮欠損を伴う脱皮不全の一例を紹介していこうと思います。
脱皮不全とは、爬虫類および両生類の皮膚の最外層の剥離が異常または障害されていることを指します。
本症例は重度の脱皮不全で、背中や頭部や尾に上皮の欠損もみられました。(下図 青矢印)


〈症状〉
脱皮不全では皮膚全体または部分的に脱皮片が残ります。
指や尾の周囲に脱皮片が残り、絞扼してしまうと、壊死することもあります。
目に脱皮片が残り、目が開かなくなることもあります。
重度の場合、絞扼して壊死したり、本症例のように上皮が欠損したり出血したりすることもあります。
〈原因〉
脱皮不全は、以下のような原因で発症します。
・不適切な飼育環境(低温や湿度不足)
・感染症(外部寄生虫や真菌など)
・外傷
・脱水
・栄養不足(ビタミンA欠乏など)
・低蛋白血症
〈診断〉
視診と触診により診断します。
皮膚の検査や血液検査などをして、脱皮不全を引き起こす原因となる病気がないかを探すこともあります。
また、飼育環境の確認も行います。
本症例では皮膚の検査で細菌感染がみられました。また、血液検査により腎機能障害が疑われました。
〈治療〉
脱皮不全の原因を特定し、それらへの治療を行います。
軽度の場合は霧吹きなどで環境湿度を高めると治ることもあります。
ぬるま湯に短時間浸すことが有効な場合もあります。
無理に脱皮片を除去することは症状を悪化させる可能性もあります。
本症例は脱水と腎機能障害、潰瘍がみられたため、点滴による補液と抗生剤やビタミン剤の投与、潰瘍部位への外用抗菌薬の塗布、
飼育環境の改善をして皮膚は完治しました。(下図)

〈予防〉
種にあった飼育管理をし、自力での脱皮を促すことで予防できます。
ヒョウモントカゲモドキでは湿度不足による脱皮不全を多くみます。
ウェットシェルターなどを設置し、十分な湿度を保ちましょう。
日ごろからよく体を確認し、何か変わったところがあれば、早めに来院を検討して頂ければと思います。
