症例紹介

両生類

ベルツノガエルの雌性生殖器腫瘍

犬や猫と同じように、カエルなどの両生類でも腫瘍が発生することがあります。

カエルでは皮膚や腎臓や血液などの腫瘍が報告されています。

今回は非常に珍しい「ベルツノガエルの雌性生殖器腫瘍」の症例をご紹介します。

 

〈症状〉

ツノガエルの雌性生殖器腫瘍の発生は報告数が少なく、確立された症状のデータがほとんどありません。

本症例は2ヵ月間の食欲不振と排便障害(便秘)を主訴に来院されました。

今回は腹腔内のしこりによる圧迫で、食欲不振や排便障害、活動性低下などが生じたと考えられます。

また腫瘤が破裂することで腹膜炎や失血死を起こす可能性もありました。

 

〈原因〉

一般的に腫瘍は加齢に伴い発生しやすくなります。

一部のカエルの腫瘍ではウイルス(ヘルペスウイルスが関与するルッケ腎癌)、化学物質への暴露などが関与しているものもありますが、

ツノガエルの雌性生殖器腫瘍の詳しい原因は解明されていません。

 

〈診断〉

触診のほか、レントゲンや超音波(エコー)検査で、体腔内の腫瘤を確認します。

腫瘍の確定診断には、細胞診検査や病理組織検査が必要となります。

本症例では腹部に硬いしこりが触知されました。

レントゲン検査ではお腹の左側にしこりの影がみられました。(下図・赤丸)

エコー検査では液体貯留(下図・赤矢印)がある腫瘤がみられました。

エコー↓

 

〈治療〉

治療の第一選択は外科手術による摘出です。

本症例では腫瘍性病変の可能性が強く疑われたため、探査開腹手術を実施しました。

手術後は元気や食欲も戻り、無事に退院できました。

摘出した腫瘤の病理組織検査を実施したところ、『腺癌』と診断され、卵管・卵巣由来の腫瘍であると判断されました。

ツノガエルの腫瘍の報告は少なく、どのような経過をとるか未知な部分もある為、腫瘍の再発や転移がないか、今後も注意して経過を観察する必要があります。

 

カエルさんの食欲不振や排便障害やお腹の膨らみなど、何か変わったことがあれば早めの受診を検討していただければと思います。