症例紹介

フェレット

フェレットのインスリノーマ

◎インスリノーマは膵島細胞腫とも言われ、腫瘍化した膵臓のβ細胞が過度にインスリンを分

 泌することで低血糖を起こします。中年齢から高齢のフェレットに非常によく認められる腫瘍

 です。

 正常なフェレットでは通常、血糖値を上昇させるグルカゴンやエピネフリン、コルチゾルとい

 ったホルモンとインスリンが互いに機能しあい血糖値を維持しています。

 しかしインスリノーマのフェレットでは血糖値が維持できず、慢性的な低血糖となります。 

 

<症状>

●ふらつく・よたつく

●ボーッとしている

●よだれを垂らす

●痙攣

●意識がない

●食欲がない

●前足で口を掻く

 

<診断>

一定の時間、絶食後に血糖値が正常よりも下回っていることを確認します。

 またインスリノーマと確定されたフェレットのうち、そのすべてのフェレットで血糖値が

 60mg/dlを下回っていたとする研究も報告されています。

  確定診断には病理組織検査が必要になります。

 

<治療>

●内科的治療

 プレドニゾロンやジアゾキシドを単独もしくは組み合わせて服用し、血糖値を維持します。

 他の薬剤としてソマトスタチン・ストレプトゾシンなどが挙げられますが、どの程度有効か

 ははっきりわかっていません。

 

●外科的治療

 膵臓にできた腫瘍を切除する方法です。内科的治療単独よりも生存期間の延長が期待

 できます。

 

その他、インスリノーマのフェレットには頻回の給餌をし、食間の時間をなるべく長くしない

 ようにしたり、高炭水化物の食べ物はなるべく避け、肉類からできている高タンパクの

 フェレットフードにするなど食餌管理も重要になります。

 また低血糖の症状がない限り、シロップなど単糖類の与えすぎはさらなるインスリンの分泌

 を促進するので注意が必要です。