爬虫類
ヒョウモントカゲモドキの卵胞捻転
爬虫類のメスでは産卵に関連した病気の発生が多いです。
今回はヒョウモントカゲモドキの卵胞捻転について紹介しようと思います。
〈症状〉
元気食欲の低下や腹囲膨満などの症状が認められます。
卵胞捻転では腹腔内で出血していることも多く、腹腔内に貯留した血液によりお腹が黒っぽく見えることもあります。
短期間で全身状態が悪化していくため、緊急性の高い疾患といえます。
〈原因〉
お腹の中で卵が形成されるときに、卵殻が形成される前の状態を卵胞と言います。
爬虫類ではこの卵胞が過剰に形成されてしまう、卵胞うっ滞と呼ばれる病気が多いです。
この画像は卵胞うっ滞のヒョウモントカゲモドキの手術中の写真です。
腹腔内に多数の卵胞が確認できます。
この卵胞が捻転してしまった状態を卵胞捻転と呼びます。
〈診断〉
レントゲン検査や腹部超音波検査で卵胞の状態を確認する必要があります。
特に卵胞捻転を起こしている場合では、超音波検査で卵胞と腹水の有無を確認していく必要があります。
〈治療〉
卵胞うっ滞の場合は自然に卵胞が退縮していくこともある為、
全身状態に問題がなければ経過観察をする場合もありますが、
卵胞捻転を起こしている場合は迅速な外科的処置が必要となります。
こちらは卵胞捻転のヒョウモントカゲモドキの手術中の様子です。
卵胞が捻転により変色しており、腹腔内に血液混じりの腹水が溜まっています。
メスのヒョウモントカゲモドキでお腹が大きくなってきている場合は、
卵胞や卵などの雌性生殖器疾患が関与していることも多いです。
そのような異常がある場合は、早めに来院を検討していただければと思います。