症例紹介

爬虫類

爬虫類のクリプトスポリジウム症

下痢が続いてしまうと、脱水症状や栄養不良によって体調が悪化していきます。

今回は爬虫類で慢性的な下痢を引き起こす、

クリプトスポリジウム症について紹介していこうと思います。

 

〈症状〉

主な症状は下痢や嘔吐、食欲不振などがあり、徐々に痩せていって衰弱してしまうことが多いです。

トカゲやヘビでの発生が多く、ヒョウモントカゲモドキで遭遇することが多いです。

 

〈原因〉

クリプトスポリジウムという寄生虫の感染によって、消化器症状を引き起こします。

病原体を含む糞便や、その糞便で汚染された食べ物や水を経口的に摂取することによって感染します。

 

〈診断〉

便検査によってクリプトスポリジウムの検出を行います。

クリプトスポリジウムは通常の便検査では検出が難しいため、

「ショ糖浮遊法」と呼ばれる便検査を用いて検出していきます。

クリプトスポリジウム感染症の便検査の顕微鏡画像です。

少し赤みがかった丸い粒が全てクリプトスポリジウムです。

 

〈治療〉

駆虫薬の投与によって症状を緩和していきます。

しかし、クリプトスポリジウムは完全駆虫が難しい寄生虫のため、

長期間投薬を継続したり、生涯にわたって他の動物と隔離してもらうなどの対応が必要となります。

 

クリプトスポリジウムは慢性的な下痢によって衰弱し、亡くなってしまうことも多い病気です。

下痢が続いていれば、早めに来院していただければと思います。