症例紹介

犬の心原性肺水腫

中高齢の犬では心臓が悪くなってくることも多くなってきます。

今回は犬の心原性肺水腫について紹介していこうと思います。

 

〈症状〉

呼吸促拍や呼吸困難、咳などがみられることが多いです。

重症化すると肺に溜まったやや赤みのある液体を吐き出すこともあります。

 

〈原因〉

心不全によって血液の循環が滞ることにより、肺に水分が溜まってしまいます。

中高齢の犬では僧帽弁閉鎖不全症と呼ばれる心臓病の発生が多く、

心臓病が進行することで肺水腫を引き起こす可能性が高まります。

 

〈診断〉

レントゲン検査で肺と心臓の状態を確認します。

呼吸状態が落ち着いていれば、エコー検査で心臓の状態をより詳しく確認していき、

全身状態の確認のために血液検査も実施していきます。

これは僧帽弁閉鎖不全症によって、肺水腫をおこした犬のレントゲン画像です。

肺水腫によって、本来レントゲンでは黒く見えるはずの肺が白っぽく見えています(赤丸)。

 

〈治療〉

利尿剤や心臓薬の投与が必要となります。

また、呼吸状態が悪化していることも多いため、酸素吸入が必要となります。

先ほどの肺水腫を起こした犬の治療後のレントゲン画像です。

肺の白っぽさがなくなり、肺水腫が改善している様子がわかります。

しかし、一度肺水腫が改善しても心不全が続くと再発することも多く、

心臓に対する治療を続けていく必要があります。

 

肺水腫は即生命に関わる危険な病気で、心臓の悪いワンちゃんは特に注意が必要です。

呼吸の様子がおかしければ、早めに相談していただければと思います。