症例紹介

爬虫類

カメレオンのフィラリア

●主にパンサーカメレオンなど野生で採取されたカメレオンで認められることがあります。

 初期の症状は特にない場合もあり、フィラリアが成虫になって皮下組織などに移動してくると、

 体幹皮膚に波うつようなスジ(隆起部)がみられるのが特徴です。


パンサー(フィラリア2).jpg 

写真はFoleyella furcataを外科的に摘出しているところ

 

 

<感染経路・治療>

感染には蚊やダニなどの吸血昆虫の存在が必要になり、

フィラリアに感染しているカメレオンの血を吸った虫を介して

感染が成立します。

フィラリアは線虫ですが、回虫などと違い消化管に寄生することはなく、

成虫はカメレオンの体腔内や皮下に寄生し、

フィラリアの仔虫は血液中に存在します。

フィラリアの発育ステージ全期を通じて宿主側の様々な部位に移動するため

組織の炎症や血管の塞栓を起こす可能性があります。

感染しているすべてのフィラリアを一度に駆除することは困難ですが、

外科的な摘出や感染状況によりフィラリアの仔虫を殺滅する薬を使用する場合もあります。

外から見て皮膚の一部が不規則な形で隆起しているようであれば気をつけましょう。

  

 

パンサーフィラリア3.jpg 

          摘出されたカメレオンのフィラリア虫体(Foleyella furcata)→